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Wrinkle Patterns in Thin Films

S. Nagashima

2022 · DOI: 10.2472/jsms.71.727
Journal of the Society of Materials Science Japan · 0 Citations

Abstract

この度,マルチスケール材料力学部門委員会からのご推薦 により寄稿の機会をいただきました.2017年に日本材料学会 に入会し,マルチスケール材料力学部門委員会で活動を開始 してからおよそ 5 年の月日が経ちました.学術講演会やシン ポジウムでの研究発表,部門委員会の幹事,材料WEEK若手 学生研究発表会の運営など,学会活動を通してこれまで様々 な経験をさせていただきました.会員便り執筆という新たな 機会に接し,僭越ながら,現在進めている「薄膜基板構造体の 表面不安定により自律形成する凹凸パターンの研究」の概要 を略歴と合わせてご紹介させていただきます. 薄膜と軟質基板から成る薄膜基板構造体に面内圧縮応力が 作用すると,表面不安定現象が発生し,面外変形に起因した 凹凸パターンが構造体表面に自律形成します.薄膜と基板の 弾性特性や寸法,応力状態に応じてパターンの形状や寸法が 多様に変化するため,ボトムアップ微細加工技術への展開が 注目されています.一方で,脳溝をはじめとする器官表面の パターン形成では,表面不安定現象が重要な役割を担うこと が明らかになりつつあります.このように,薄膜基板構造体 の表面不安定現象は,機能ナノ材料・デバイスの開発や生物 の形態形成機構解明に結びつくことが期待されます. 現在の研究テーマとの出会いは,今から 15年前の 2007年 に遡ります.念願叶い配属された鈴木哲也先生(慶應義塾大 学理工学部)の研究室で体内留置型医療器具に応用する薄膜 材料の開発に取り組み 1 年が過ぎた頃でした.その当時は, 血管内治療がご専門の長谷部光泉先生(現東海大学医学部) や輸血・細胞治療がご専門の上條亜紀先生(現早期胃癌検診 協会)に臨床医学の観点から,そして,同じく慶應義塾大学の 堀田篤先生に材料工学の観点からもご指導いただきながら, 薄膜表面の化学結合状態や濡れ性が抗血栓性や細胞適合性に 及ぼす影響を明らかにすべく,材料の作製と血液浸漬実験・ 細胞培養実験に取り組んでいました. そんなある日,共同研究をしていた Kwang-Ryeol Lee 先生 (韓国科学技術研究院)との打ち合わせの場で,初めてしわ パターン「リンクル」の存在を知ることとなりました.資料に 一枚の顕微鏡画像があり,そこには軟質基板に蒸着した薄膜 が形づくるリンクルが写し出されていました.見るや否や, その美しさに目を奪われ,リンクル研究に携わりたいという 思いが芽生えました.打ち合わせ以来,リンクルへの興味が 日に日に増す一方,材料表面の形状制御への関心が高まった ことから,翌年リンクルの研究に着手しました.文献調査と 合わせ,先述のリンクルを作製したMyoung-Woon Moon先生 にもご指導いただき,リンクルの作製と評価を進めました. 博士課程に進んでからは,ダイヤモンドライクカーボン薄膜 を用いたリンクル作製方法の構築と同リンクルの細胞適合性 評価に取り組み,2012年3月に学位を取得しました. 翌 4月からは,Moon先生のもとでポスドク研究員となり リンクルの変形現象に着目した研究に従事しました.特に, 原子間力顕微鏡を用いたその場観察実験を軸に据え,現象の 機構解明とナノ材料・デバイス創成への応用に努めました. 実験を進める過程で,水滴が駆動するリンクルの変形を観察 することもできました.当初は予想外の実験結果でしたが, 何度繰り返しても同様の変形が見られ,いよいよそれが興味 深い現象だと確信したときの興奮は今でも忘れられません. その後,変形機構を明らかにするためにプリンストン大学の Howard A. Stone先生の研究室で実験と理論構築を進め,再び Moon先生の研究室に戻り,研究成果をまとめました. こうしてポスドク研究を実施したのち,2017年2月に中谷 彰宏先生が主宰される大阪大学マイクロダイナミクス研究室 に特任助教として着任しました.同年 4 月からは助教として 教育・研究に従事しましたが,このとき研究室の中谷先生や 土井祐介先生をはじめ多くの先生方に力学研究や高等教育, 学会活動の基礎をご指導いただきました.そして,大阪大学 で約4年にわたり教育・研究に従事したのち,2021年4月に 奥村大先生が主宰される名古屋大学固体力学研究グループに 准教授として着任し,現在に至ります.研究グループでは, 奥村先生や松原成志朗先生と緊密に連携し,薄膜基板構造体 の表面不安定現象に着目した理論・計算・実験の融合研究を 推進しています.現象の本質理解に向け異なる視座から議論 し,新たな知見を世界に発信すべく学生メンバーと協働する 日々を過ごしています. 以上,薄膜リンクルとの出会いから現在に至るまでの変遷 を述べさせていただきましたが,これまで多くの方々にいた だいたご指導なくして今日教育・研究に従事する私はないと いうことを改めて感じます.この場をお借りしてみなさまに 心より感謝申し上げます.興味の赴くままに研究してきたが 故に,未だ学ぶべきことばかりですが,教育と研究の深化に 少しでも貢献できるよう努めてまいりたいと思います.今後 ともご指導ご鞭撻のほど,何卒よろしくお願いいたします. + 原稿受理 令和 年 月 日 Received * 正会員 名古屋大学大学院工学研究科機械システム 464-8603 ,Dept.Mech.Syst. Eng., agoya niv., agoya464-8603