UPDF AI

Rock mass failure at Baba-dani, a tributary of the Kurobe River, eastern Toyama Prefecture, central Japan with its action to restoration process

K. Kashiwagi,Yasuhisa Hino

2019 · DOI: 10.3313/JLS.56.32
Journal of the Japan Landslide Society · 0 Citations

Abstract

富山県東部に位置する黒部峡谷は,黒部川流域のうち う な づき 一般には宇奈月から上流域を指し,その両岸に急崖斜面 けやきだいら が迫る峡谷が連続する。宇奈月と欅 平を結ぶ黒部峡谷 鉄道は,黒部峡谷へ下流側から入る唯一の交通手段であ り,終点の欅平からは黒部川沿いの登山道に加え,支流 ば ば の祖母谷に沿って林道が伸びている(図-1)。これら 交通網は,急傾斜山岳地に整備されていることから,自 然災害によりしばしば損壊を受けてきた。例えば,2002 かねつり 年9月17日に東鐘釣山で発生した岩盤崩壊では,移動体 である崩落岩塊により黒部峡谷鉄道の軌道が被災し, 翌年7月までの部分運行を余儀なくされている。この 復旧作業において,岩盤崩壊斜面の初期調査に山小屋関 係者らが活躍するとともに,その後の定期的な東鐘釣山 の斜面点検に貢献している。急峻な斜面が連続する黒部 峡谷流域では,アプローチ自体が困難な場所が多いため に,急崖をロープを利用して昇降する技術に精通した専 門家集団が,しばしば調査・点検を主体的に進めること がある。 2012年4月末,欅平から東方に伸びる林道沿いのうち, めいけん 名剣温泉と祖母谷温泉の間で岩盤崩壊が確認され通行不 能になった(図-2)。この岩盤崩壊は,大規模なもの ではないものの,観光や登山に広く利用されている林道 が寸断されたため,地域観光を含み社会的に大きな影響 を与えた。筆者らは,2012年5月30日と6月8日の崩壊 確認後の間もない時期に崩壊斜面の地質調査を実施し, 2015年9月24日の林道復旧後に追加調査を行った。本稿 では,岩盤崩壊を記載しその地形地質素因と発生誘因, 運動様式を考察する。さらに,岩盤崩壊発生前後の林道 維持の取り組みと経緯を,崩壊斜面の復旧と山小屋関係 者らの活動と合わせて紹介する。 2.地質概説 黒部川流域には,中生代から新生代にわたる様々な年 代の花崗岩類が広範囲に露出し,欅平と鐘釣付近には飛 騨外縁帯の古生界変成岩類が狭い範囲に分布する。本稿 で対象とする欅平から祖母谷温泉に至る林道沿いでは, べっさん 西側2/3に黒部別山花崗岩が,東側1/3に黒部川花崗岩が みられる。古生界は,黒部別山花崗岩類中に断片的に伴 われる (図-2)。 ひとくいいわ 黒部別山花崗岩は塊状を呈し,欅平から人喰岩を越え ■富山県東部の黒部峡谷祖母谷で発生した岩盤崩壊と復旧の取り組み Rock mass failure at Baba-dani, a tributary of the Kurobe River, eastern Toyama Prefecture, central Japan with its action to restoration process